8月も半ば。
富山の暑さは、今年も相変わらず容赦ありません。
そんな休日、妻と車で山のほうへドライブに出かける時間が、最近の私にとって一番の息抜きになっています。涼しい場所で景色を眺めながら、美味しいものを食べる。こういう何気ない時間が、実は一番幸せなのかもしれません。
そんな私ですが、先日、職場でちょっと考えさせられる会話がありました。
「SNSにいろいろ自分のことを書く人って、何が楽しいんだろうな」
60代の先輩社員が、ふとそうつぶやいたのです。すると隣にいた同僚が、すかさずこう答えました。
「自己満足と承認欲求ですよ」
なるほど、確かにそういう面はあると思います。誰かに「いいね」をもらえば嬉しいし、コメントが付けばちょっと気分がいい。「自分のことを誰かに見てもらいたい」という気持ちが、SNSを始めるきっかけになることもあるでしょう。
でも、その会話を聞きながら、私は少し違うことを考えていました。
「SNSって、本当に自己満足だけなんだろうか」
私にとってSNSやブログは、暇つぶしでも、承認欲求を満たすためだけのものでもありません。むしろ、これからの人生を考えたときの、「会社を辞めた後も、社会とつながっているための準備」なのではないかと思っています。

■会社を辞めたら、自分は何者になるのか
50代になると、少しずつ「定年後」が現実味を帯びてきます。
今は会社に行けば、「〇〇会社の社員」「〇〇部の管理職」という肩書きがあります。名刺を渡せば、自分が何者なのかを簡単に説明できる。
ところが、会社を辞めた翌日から、それが全部なくなります。
もちろん、会社を辞めても自分自身が消えるわけではありません。家族もいるし、これまで培ってきた経験もある。趣味もあるし、何より長い人生がまだ続きます。
それでも、ふと考えてしまうのです。
「会社を辞めた後、私は誰と話すんだろう」
「誰かに必要とされる機会は、これからもあるんだろうか」
これは、お金の問題とは少し違う話です。FIREや早期リタイアを考えると、どうしても「いくら貯めれば会社を辞められるか」という話になりがちです。もちろんお金は大切です。でも、本当に準備しておくべきものは、お金だけではない気がしています。

■FIREで忘れてはいけない「無形資産」
FIREを目指す人にとって、金融資産はもちろん重要です。株式や投資信託、現金などを積み上げていく。これはいわば「有形資産」です。
一方で、退職後の人生を豊かにしてくれるものが、もう一つあります。人とのつながり、趣味、経験、知識、信用、そして自分の居場所。こうしたものは、数字では表しにくい「無形資産」です。
私は最近、この無形資産こそ、50代から意識して増やしておきたいものではないかと思うようになりました。
会社を辞めた瞬間に、1000万円の資産が突然増えることはありません。でも10年かけて、「この人とは趣味の話ができる」「このコミュニティに行けば仲間がいる」「自分の経験を必要としてくれる人がいる」という関係は、少しずつ作っていくことができます。
そう考えると、SNSやブログも、立派な「未来への準備」なのかもしれません。

■「いいね」が1つ付くことにも、意味がある
SNSで発信していると、こんな経験があります。
自分が書いた記事を誰かが読んでくれる。コメントをくれる。「参考になりました」と言ってくれる。たった一言でも、意外と嬉しいものです。
もちろん、「いいね」の数を競いたいわけではないし、フォロワーを何万人にしたいわけでもありません。ただ、「自分の考えや経験が、誰かのところに届いた」という感覚がある。
私は、この感覚を単純に「承認欲求」と片付けたくないんです。人間は、誰かとつながっていたい生き物だと思います。自分の経験を誰かと共有したい。誰かの役に立ちたい。誰かと同じことについて話したい。そんな気持ちは、年齢を重ねてもなくならない気がします。
むしろ、会社という大きなコミュニティを離れるからこそ、大事になってくるのではないでしょうか。

■「会社」という居場所は、いつかなくなる
先輩社員のことを否定したいわけではありません。むしろ、会社というコミュニティの中で長年働き、そこで人間関係や居場所を築いてきたことは、とても価値のあることだと思います。
ただ、私たちの世代は、少し考え方を変えてもいいのかもしれません。「会社を辞めても困らない自分」を、会社員である今のうちから作っておく。これが大事なんじゃないかと思うのです。
退職してから「さて、何をしよう」と考えるのでは、少し遅い気がします。会社にいるうちから、
「休日に会いたい人がいる」
「会社以外にも話せる仲間がいる」
「自分の経験を発信できる場所がある」
「これからやってみたいことがある」
そんな状態を、少しずつ作っておく。それができれば、会社を辞めることは「居場所を失うこと」ではなく、「居場所を一つ増やすこと」になるかもしれません。

■50代から始めたい、3つの準備
具体的に何をすればいいのか。私は、まずこの3つで十分だと思っています。
① 夫婦で「会社を辞めた後」の話をする**
これは意外と大事です。休日のドライブ中でも、食事をしながらでもいい。
「もし明日、会社に行かなくてよくなったら何する?」
そんな軽い話から始めてみる。夫婦でセカンドライフのイメージを共有しておくだけでも、かなり違うと思います。私自身、妻とドライブしながら、これからの生活について話す時間を大切にしています。

② 小さく発信してみる**
いきなりブログを始めなくても構いません。Xでも、Instagramでも、noteでもいい。もちろん匿名でも構いません。
車が好きなら車の話。旅行が好きなら旅行の話。仕事で長年培ってきた知識があるなら、その経験を書いてみる。
「こんなことを書いて誰が読むんだろう」と思うくらいで、ちょうどいいのかもしれません。最初から100人に届ける必要はなくて、まずは1人に届けばいい。その1人とのつながりが、将来の自分の居場所になることもあります。

③ 生成AIを「壁打ち相手」にする**
「発信してみたいけど、文章を書くのが苦手」という人には、生成AIもかなり使えます。
「50代会社員の経験を活かして、同世代に役立つブログテーマを10個考えて」
こんなふうに聞いてみて、そこから自分の経験を足していく。AIに全部書いてもらう必要はなく、むしろ「自分の頭の中にあるけれど、うまく言葉にできないことを整理する」ために使うのがおすすめです。
長年働いてきた50代には、本人が気づいていないだけで、たくさんの経験が眠っています。仕事の失敗、人間関係、部下との接し方、お金のこと、子育て、夫婦関係、趣味、旅行、定年後の不安。これらは、同世代にとって意外と価値のある情報だったりします。
「お金」だけでは、FIREは完成しない

■FIREを目指していると、どうしても資産額が気になります。
「5000万円あれば辞められる?」
「1億円必要?」
「年間いくら取り崩せばいい?」
もちろん、こうした計算は大切です。でも私は最近、こう思うようになりました。
FIREとは、会社を辞めるためのお金を作ることだけではない。会社を辞めた後に「今日は何をしよう」と思えること。会いたい人がいること。話したい人がいること。誰かに必要とされること。自分なりに楽しめること。そういうものまで準備できて、初めて「豊かなセカンドライフ」になるんじゃないでしょうか。
だから私は、金融資産だけでなく、人とのつながりや経験という「無形資産」も、少しずつ積み上げていきたいと思っています。

■会社員である今だからこそ、できること
会社員として過ごせる時間は、永遠ではありません。いつか定年を迎えるし、あるいはFIREして自分から会社を離れる日が来るかもしれません。
そのとき、「会社を辞めたら、すべてがなくなった」ではなく、「会社を辞めても、ちゃんと自分の世界が続いている」と思えるようにしておきたい。
そのために私は、今のうちから少しずつ、お金を貯めて、経験を積んで、人とつながって、自分の好きなことを発信する。そんな準備を始めています。
もしかすると、SNSに投稿するという小さな行動も、その準備の一つなのかもしれません。
「自己満足です」と言われれば、それも否定はできません。でも私は、こう考えています。
自己満足でもいい。その先に、誰かとのつながりが生まれるのなら。そして、そのつながりが、何年か後の自分を支えてくれるのなら。それは決して、無駄なことじゃないと思うのです。
■あなたは、会社を辞めた後に「誰と話しますか?」
FIREや定年後の生活を考えるとき、どうしても資産額ばかりに目が向きがちです。
でも、本当に考えておきたいのは、「会社を辞めた後、自分はどんな人たちと、どんな時間を過ごしたいのか」なのかもしれません。
あなたにとって、SNSは「自己満足」ですか? それとも、「未来の自分の居場所を作るための場所」ですか?
よかったら、あなたの考えも聞かせてください。
